メイジ・イレイス

第1話

エピローグ 晴れた日は


「こんな晴れてる日に寝てるだけなんて……」
「体が動かないんだからしょうがないでしょ。何にしろ、今日は学校じゃない」
「でも学校だと体動かすよ? 少しでも」
「ほとんど勉強だけど」
 純一はその後、丸1日を意識不明のまま過ごし、その後3日を寝たきりで過ごした。目を覚まして4日目、今日もまだ半日しか経っていないのだが寝たきりだ。
 瑞樹は純一が引き起こした謎の現象について調べたが、結局何も分からず、「別に良いじゃない。謎は謎のままだからこそ楽しいのよ」という意味不明な理論をぶち上げて調べるのを止めた。果たして誰に言い訳したのかは不明である。
 純一は目を覚ましてから2日目、今から言うと2日前に瑞樹から色々と説明を聞いた。
 本名が『フェンティス・レクレスト』であること。“戦闘モード”(瑞樹命名)について。弟『ジェフス・レクレスト』について。“アンプリアック”の詳細――等々。
 全部呑み込めたのかと言うとそれは甚だ疑問であるが、そこは追々頑張って理解するらしい。

 翌日のニュースで大きな話題となった。
 『一夜の内に潰れた家・消えた屋根』――大ニュースとならない方がおかしいだろう。
 もはや怪奇現象としか言えないこの現象に、様々な分野の専門家が意見を述べるが、全ての意見はどこかで矛盾を孕んでいた。そのため信用に足らず、世間においてはもはや『単なる謎』ということで処理されてしまったのだが、それでも様々な憶測が飛び交った。
 結局、真実を知っているのは瑞樹と純一のみである。一般に魔法使いは“チーム”に所属するが、それに所属していない瑞樹に報告義務はないし、チームに所属していない以上自分の位置は知られないため、何らかの組織がやって来ることもない。
 平穏な日を送っていた。毎日テレビ局が取材にやって来ること以外は――
「いい加減帰らないと、怒りますよ~?」
 と、言いたいところだが、姉の静かなマグマの前に取材班はすごすご帰るしかなかった。それでも毎日来るんだからある意味尊敬すべきであろう。一体どんな神経の持ち主なのだろうか。

 瑞樹は学校を休んでまでも純一の近くにいた。
「ほんとね、純一が倒れたときは泣いたよ」
「僕はぁ……、あんまり記憶が無いんだけど。確か、瑞樹が倒れて少しした時から」
「その前の記憶なんて無いんだけど」
 まず、瑞樹はジェフスと戦っている間の記憶はない。純一だけがその間を知っている。その後瑞樹は倒れ、純一も意識を失った。
 そして、瑞樹が先に起きた。瑞樹が魔物と戦っている間の記憶はない。続いて魔物を“分解”したときの記憶もない。その間の記憶は瑞樹にのみある。
 つまり、戦闘開始から魔物の全滅まで、2人とも同じ記憶を持っている時間が全くと言って良いほど無いのだ。あるとするなら、戦闘開始のほんの一部のみ。戦い始めてすぐは“戦闘モード”ではなかったためだ。
「ま、いいじゃない。目の前で純一がちゃんと生きていれば、それでいいから」
「瑞樹はね……」
「何? 純一は良くないの?」
「……いや、別に良いよ。瑞樹がそこにいるんだから」
 言われて、瑞樹はかぁぁっと顔を赤くする。
「……ね。言われると恥ずかしいんだよ。これが」
「そ、そだね」
 瑞樹は少しだけ顔を俯けた。
「晴れてるね」
「そうだねぇ……」
 瑞樹はその空を見上げた。
 亜麻色に染まる昨日の空と違い、透き通るような青色がそこにはある。
「ねえ純一」
「何?」
「さっきの台詞ね……嬉しかったぁぁっ!」
「わぁっ!? ちょ、瑞樹ッ!」
 そう言えば、抵抗できないんだっけ。
 瑞樹はそんなことを思い、そして。
「純一ーっ!」
「んみゅっ!? んー……やめてー!」

 姉――麗奈は、上から「たーすーけーてー」という声が聞こえても無視した。
 ただ。元気がいいわねぇ……、と思うと同時に、
「瑞樹も成長したわね」
 足音が下に響いている。一体どれだけ暴れているのかはよく分からないが、麗奈は天井を眺めて微笑んだ。


 空は澄み渡り、秋の涼しい風に落ち葉が舞い上がる。静かな街に、落ち葉が擦れ合う音が響く。
 そこを『平和』と言わなければ一体どんなところを『平和』というべきなのだろうか。
 そこには秋が訪れていた。
 枯れ葉の絨毯を、彼は歩いている。

 すっかり寂しくなっている木を見た。

 ずっといつまでも、穏やかな日々が続きますように……。

 空を見れば、亜麻色の欠片も無く、ただただ蒼い空が続いていた。

 それがまさか、
 また夏に来るだなんて……。

 秋の一時。
 彼に訪れた平穏は、無駄に元気で――そして時に求愛行動があまりに激しいのではないかと思う――少女がくれた、誕生日プレゼントだったのかもしれない。
 ――誕生日、教えたっけ。

 ……と、いうか。どうして瑞樹は来ては長いことどこかに行ってまた来て、を繰り返すのだろうか。純一の疑問は尽きない。


第1話 終わり

第2話――時はようやく得た平穏が日常になりつつあった頃に、瑞樹についていって、魔物をかち割ったのを見た後にまで進む……


第1話終わり……というわけで。

言い訳始めますです。読まない人は即行でスクロールしてください。きちんと下にナビゲーションありますから。

まず、「まだ続くのかよ」と思っている方。ごめんなさい。第1話って時点で気付いてない、なんてことはないと思いますが、ごめんなさい。続きます。だって、1つのネタで続けていかないと――(内部別人格により強制停止)

既に“既成事実”ありすぎという感じがしている方。ごめんなさい。僕の技術力が無い所為です。精進します。

最後に。設定と時間軸無茶苦茶でごめんなさい。載せるときに色々修正して、公開してからざっと眺めたらおかしいという事態が発生していました。もっとチェックすべきでした。僕の落ち度です。本当にごめんなさい。

そんなでも続きを気にしてくれる方がいれば太陽の大きさぐらいの嬉しさです。ゲストブックに書き込んでもらえればもっと嬉しいのですが、正直感想読むのにものすごい緊張を伴うのというのはどうなんでしょう。


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